MARVEL アベンジャーズでわかる価値の考え方
1週間ほど前にソラマチ(スカイツリー)へ出かけた際に、アベンジャーズ/エンドゲームの展示をしている一角がありました。
「アベンジャーズ/エンドゲーム」の上映は少し前のこととなりますが、アベンジャーズ、というよりアイアンマン好きな私としては、アイアンマンの展示があるだけで興奮してしまいました。
と、そんな個人的な話は置いておきまして、改めて、アベンジャーズシリーズで大成功を収めたマーベルの戦略とその価値について考えてみたいと思います。
まず「アベンジャーズ/エンドゲーム」は非常によく構想された作りの作品だということです。
ちなみに、マーベル作品のファンではありますが、コアなファンでもなく、映画を評論できるほどの映画好きというわけでもありません。
VEの専門家として、マーベルが展開したアベンジャーズシリーズのビジネスとその価値という観点で考えてみました。
アベンジャーズには、いくつものキャラクターが登場し、本来であれば、各キャラクターを主人公とした作品全て(20作品以上)を観ておくと、細かな設定なども分かることで、大きく楽しみが増す作品です。
しかし、各作品を観ていない人にとっても、ストーリーには複雑さもなく、映像の迫力などからも、楽しめるような工夫がなされている作品になっているのです。
このように、コアなファンだけではなく、当たり前ではありますが、より幅広い人に楽しんでもらえる点からも大ヒットにつながったのではないでしょうか。
前述のとおり、アベンジャーズに登場する各ヒーロー作品を全て観ていて、細かな設定やストーリーを知っていればいるほど、より楽しめる作品になっています。
「あ~、こんなのあったなぁ」「こうだったらいいと思ってたんだよなぁ」というちょっとしたことが、そこかしこに盛り込まれている点が、質という面でも量という面からもファンの期待を裏切らなかったというのが、価値を高めている1つと考えます。
V(価値) = F(機能) / R(リソース)
というのが、VEにおける”価値”を表す式ですが、次のような式で表すと、マーベルがアベンジャーズシリーズでとった戦略の価値が分かりやすくなるかと思います。
V(価値) = ( F(機能) / R(リソース) ) x S(シナジー効果)
「ナラティブの物量展開」と表現している人もいますが、単一の作品の個々にも多くのファンが存在していた上に、これらを単発で終わらせませんでした。
マーベルは、10年以上もの間、様々な作品をシリーズ化し提供し、マーベル自体の地位も確立してきたわけです。
私自身は、ディズニーがマーベルを買収したタイミングが大きな転機になっているのではないかと考えています。
ちょうどこの頃から、個々の作品だけでなく、他の作品と繋げるという手法がとられ始めたのです。
まさにこの戦略がハマった事例かと思います。
ファンからすると、「そんな関係があったの?」「ここで出てくる?!」
( 個々の作品の価値(V) = F / R ) + ( 個々の作品の価値(V) = F / R )という相乗効果がもたらされたわけです。
それらの積み重ねが”ナラティブの物量展開”に繋がっていったわけです。
ただし、物量展開となると、1つが崩れると総崩れというリスクも抱えています。
そういう意味では、マーベルがアベンジャーズシリーズに向けた積み重ねには、絶妙な積み重ねる量のコントロールがなされていたのだと思います。
アベンジャーズシリーズが完結した今、マーベルは今後どのような価値を生み出していくのでしょう。
非常に楽しみにするところでもあります。