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コストを上げてでも価値を高める

丸永製菓の「あいすまんじゅう」という商品をご存じでしょうか。
ボリューミーでほどよい甘さの餡子が練乳混じりのアイスに包まれたアイスで、以前よりずっと大ファンだったアイスです。

このあいすまんじゅうに、「PREMIUMあいすまんじゅう」という商品が追加され販売されています。
発売の発表を聞いて以降、あらゆるコンビニ、スーパーで探し回りましたがずっと見かけることもなく時は過ぎました。
近くのコンビニの店長に相談もしたのですが仕入れてもらうことができずにいたという、私にとって待望の商品をついに手に入れることができました。

偶然にも近くのスーパーマーケットでPREMIUMあいすまんじゅうに遭遇したのです。
しかし、通常のあいすまんじゅうは140円、PREMIUMあいすまんじゅうは180円と40円も高いのです。
にも関わらず、発見したスーパーマーケットでは、あっという間に売り切れていました。

1つのアイスでありながら、価格が40円も上がった。
それでも、売れ行き好調というのは、コストが上がった以上の価値があるからです。
人は、単にコスト(金額)だけで判断しているわけではないということでもあります。

そこで今回は、価値を上げるには、必ずしもコスト削減することだけではない、ということを説明したいと思います。

VEにおいて「価値」は次の式で表されます。
Value = Function / Cost(Resource)
(※アメリカでは、分母をCostでなくResourceと表現しています。コストというとどうしてもお金のことだけに捉えられてしまうせいだと考えられます)

価値は、どれだけのコスト(リソース)を投入して、機能(ファンクション)を達成できているかであるという意味を示しています。

式だけでは分かりづらいので、図示してみます。

ある機能(ファンクション)とあるコストの関係により、丸で示されたように価値が決まることを示しています。

では、価値を上げるには、どのような方向性を取り得るのかをさらに図示します。

点線の方向に持って行ければ、価値が上がったと言うことができます。
そして、点線の方向に持って行くには、5つの方向性を取ることができます。

この図で注目していただきたい点は、「コストを上げてでも、より機能(ファンクション)を高める」ことで、価値を向上するという方向性が存在することです。
(図中の⑤がそれです)

「あいすまんじゅう」の例に戻すと、
1個140円の普通のあいすまんじゅう
1個180円で内容量半分程度のPREMIUMあいすまんじゅう
単に価格が上がった・量が減ったというだけでは、価値が下がったことにはならないわけです。

価格が上がった以上の機能を達成できているからこそ、PREMIUMあいすまんじゅうも飛ぶように売れるわけです。
《さらに美味しさを増す》 《クリームと餡子の絶妙なバランスを生む》生の牛乳とクリームで作ったアイスで《上品な甘さを生む》といった、見た目は同じなのに、味をさらに極めた機能(ファンクション)の向上の程度が非常に大きいということです。

実際に、PREMIUMあいすまんじゅうを食べてみましたが、甘すぎずたっぷりでとろりとした餡子を包む生の牛乳とクリームが合わさり、口中にほどよい甘さと香りが広がる感じは、 通常のあいすまんじゅう以上の美味しさは病みつきレベルなのに、また手に入るお店を探さなければ。。。

ここで、プラス40円のコストを掛けてでも手に入れるのかどうかは、個々人の価値基準に依るところではあります。

価値を上げる・改善する、という方向性が指示されると、まず多くの人が効率化・コスト削減だ!と脊髄反射してしまいます。

しかし、価値というのは、コストを下げることでも、上げることでも向上させることができます。
そのコストでどれだけの機能(ファンクション)を達成し、顧客の満足度を向上するのかが最も大事なことです。

VEが、他の単なるコスト削減の手法とは異なる点でもあり、価値というものを思考の原点にすることで価値創造・問題解決を行うことができる管理手法なのです。

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