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アスリートキャリアサポート事業(アスナビ)説明会へ参加してきました

東京国際フォーラムで開催されたアスリートキャリアサポート事業説明会に参加してきました。

東京都 アスリート・キャリアサポート事業
アスリートの雇用について考えてみませんか?アスリート・キャリアサポート事業 企業向け説明会を実施

この説明会は、東京都スポーツ文化事業団(運営元:東京都オリンピック・パラリンピック準備局 スポーツ推進部)および日本オリンピック委員会が主催しており、東京都のアスリート・キャリアサポート事業の一環として行われた説明会でした。

まず、この説明会に参加することで、確信したことがあります。

私が開発した、バリューエンジニアリングを適用した「アスリート向けデュアル・セカンドキャリアデザイン法」が活用できると確信したことです。(「バリューエンジニアリング」についてはこちら

東京都では、オリンピック・パラリンピックを目指すトップアスリートが競技を安心して続けられるよう、現役アスリートの就職を支援する「アスリート・キャリアサポート事業」が実施されています。
本イベントでは、アスリート・キャリアサポート事業への理解と賛同を目的とした企業向け説明会と、日本オリンピック委員会の「アスナビ」に関する説明会が行われました。

説明会では、まず実際にアスリートを雇用している企業の人事担当者と所属アスリートから、社内の変化や事例を紹介がありました。
また、就職を希望するアスリートから競技と就職への想いを直接プレゼンテーションする場も設けられました。
最後に、企業関係者とアスリート本人や日本オリンピック委員会(以下、JOC)担当者との意見交換が行われました。

JOCの調査では、現役アスリートの90%程度が現役引退後の将来に不安を抱えていることが分かっています。
相当に名のあるほんの一部のアスリートを除き、現役選手として活動することさえ経済的に大きな負担になっています。
トレーニング費用、用具費用、遠征費用、コーチ委託費用。。。競技をするだけでも多くの費用が必要になる上に、生活を成り立たせるためのお金が必要になるわけです。
現役中であってもこのような環境であることから、引退後ともなると、トップアスリートの方でさえ現役中から不安を抱える方も多く、セカンドキャリア形成にも大きな苦労をしています。

東京都のアスリート・キャリアサポート事業が立ち上がったのは、2015年になってからのようです。
随分と最近に取り組みが始まったのですね。
とはいえ、自治体としてアスリートの支援に組織的な取り組みをしているのは東京都だけのようです。
行政としては、スポーツ庁が「スポーツキャリアサポートコンソーシアム」を立ち上げています。
スポーツキャリアコンソーシアムのサイトにも掲載されているのですが、以前は文科省においてアスリートのキャリアについて調査・研究がなされていたようです。しかし、これにしても、2013年にデュアルキャリアに関する調査研究がなされていたような状況です。

行政・自治体といった公的機関やJOCによるアスリート支援はまだまだ始まったばかりなこともあり、支援のためのモデルが確立しきれていないと考えています。
説明会の中では、全日空、セールスフォース(日本だけの取り組みとのこと)といった一般企業から、アスリートを社員として雇用している現状に関して事例紹介がなされました。
これらのような超大企業であれば、アスリートとしての活動を支援する経済的な余裕も持っています。
しかしながら、そのような企業に見いだされ支援をしてもらえるアスリートはほんの一部でしかありません。

東京都のアスリート・キャリアサポート事業の説明会に続き、JOCからは「アスナビ」に関する説明会が行われました。
「アスナビ」とは、JOCが取り組んでいるアスリート向けのための就職支援事業です。
2010年より取り組みが始まったとのことで、これまでに152社 226名のアスリートが就職することができたようです。
ところが、気になったことがあります。
サイトをご覧いただくと分かるのですが、「企業と現役トップアスリートをマッチングする」と記載されている点です。

そうです、”トップアスリート”のみが対象なのです。

また、今回の説明会で配付された資料には、現役続行のための就職支援希望アスリートのエントリーシートが含まれていました。
しかしながら、41名のエントリーシートしか無いのです。
JOCに参加している協会・連盟の数、そして各々の協会・連盟に所属するアスリート数から考えると、非常に少ないですね。

さらに、アスナビにより企業へ就職できたとしても、引退後の雇用継続は別途相談となるようです。
現役活動中は良いけれども、その後は?。。。と不安の解消には繋がってはいないのです。もちろん、アスリートにとっては目先の現役活動を続けられるだけでも大変ありがたいわけではありますが。

アスナビの説明後、現役のトップアスリート8名によるプレゼンテーションも行われました。
プレゼンテーションといっても、各アスリートから自らの競技の説明がなされた後、数分程度の自己アピールが口頭でなされる形式でした。

エントリーシートの書き方にしても、プレゼンテーションの方法にしても、アスナビからのアドバイスや指導は無かったのかな?と感じました。
現役の大学生が就職活動でこんな状態だったら内定なんてもらえないよ?というレベルだったように思えます。
説明会での各アスリートのプレゼンテーションを見ている様子では、アスナビではマッチングの場を設けることだけで、マッチングの場で、アスリート個々人のアピール力を高める支援までできていないようです。

《場を設ける》だけではダメなんです!
肝心のその場で、どれだけ最高のパフォーマンスを引き出せるかを支援できてこそ、本当のアスリート支援なのです。

私としては、弊社で教育プログラムとして行なっている理屈でスラスラ書ける文章術」、「理屈で魅せるプレゼンテーション術といったスキルを伝えてあげられればと強く思いました。
競技での成績を上げることがアスリートの目的とはいえ、エントリーシートでの上手なアピールの書き方、面接などでの説得力ある説明や振る舞い・自己アピールの仕方、このようなスキルを選手のうちから身に付けておく必要があります。
アスリートとして活動する中でも、インタビューの受け答えであったり、SNSやブログなど文章を書く機会も多くなっています。競技に取り組んでいる段階からこういったスキルを身に付けておくことが、引退後の人生にも大きく影響してきます。

さて、これらの観点から見てみると、非常に局所的で効果の薄いアスリート支援しか実現できていないことが分かります。
バリューエンジニアリングでいうところの、「価値の程度」が低い状況です。

さらに、アスナビを介してアスリートを引き受ける企業の採用目的が、「社員の一体感の醸成・士気高揚、企業イメージアップ・スポーツCSR」とのこと。
私見ではありますが《アスリートを支える》ためというよりも、《自分たちの会社で利用する》ためのように見えますね。
あくまでもアスナビがこのように述べているだけであって、採用する企業側全てがこのような目的のみではないとは思いますが。

こうして見てくると、トップアスリートと呼ばれるアスリートでさえ、デュアルキャリア・セカンドキャリアに不安を抱え、就職困難な環境にあるわけですから、JOCの目にとまらないアスリートは、さらに深刻な状況であることは容易に想像できるほどです。

説明会後の様子からそれを裏付けるかのような状況が見えました。
今回の説明会後に会場の外では、プレゼンをした8名が並んでおり、説明会への参加企業が自社への雇用に興味のあるアスリートと話をする場が設けられていました。
しかしながら、ほとんどの参加企業は説明会後にエレベーターへ直行していました。。。
全く声をかけられていないアスリートさえいる様子を目にしました。

こういった環境に対して弊社が取り組んでいるのが、アスリート(トップアスリートと呼ばれるアスリート以外も含めて)へのデュアルキャリア・セカンドキャリア支援のためのコンサルティングとサポートモデル作りです。

最初に述べたように、今回の説明会に参加したことで、バリューエンジニアリングを適用した「アスリート向けデュアル・セカンドキャリアデザイン法」が活用できることが分かりました。

デュアルキャリア・セカンドキャリアに関しては、アスリート個人だけでなく、競技団体(協会、連盟など)、一般企業、行政や自治体など様々なステークホルダーも関係してくるため、複雑な課題ではあります。
しかし、だからこそコンサルタントとしてのスキルを発揮し、アスリート自身だけではどうにもならないように思えてしまう課題解決を支える存在が必要であり、それが弊社が取り組むスポーツビジネスコンサルティング事業の一つなのです。

[2018.10.17 追記]
東京都スポーツ文化事業団のサイトで、この企業説明会のレポートがアップされています。
レポートはこちらから。

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