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ハードウェア初期費用が10分の1!?

今年、とある中小製造業のお客さまで、システムのリプレイスを行いました。
(前回の記事にも書きましたが)

これまで25年以上も延命に次ぐ延命で動いてきた基幹システムの保守期限が切れてしまうことから、その置き換えを依頼されたのです。

25年前という時代を考えても、そのお客さまにとってはとても大きな投資だったと思います。
また、中小企業という環境から考えても相当な決断だったはずです。

当時はまだ家庭にパソコンなんて考えられなかった時代。
もちろんのこと「ネット」「インターネット」という言葉も一般の人が知るような言葉ではなかった時代です。

しかし、25年以上も稼働したことから、その投資費用は十分に回収できたかと思います。
25年も稼働し続けたシステムなんてなかなか耳にすることがありません。

さて、そんな会社での新システム導入でしたが、まずビックリなのは、タイトルにもあるように、ハードウェアの初期費用を10分の1で作り上げることができたことです。

具体的には、400万円を越える見積りばかりであったにも関わらず、私たちが提案した調達方法であれば、30万円程度の費用だったのです。

ビックリしませんか?
10分の1どころじゃありませんね。

当初は、ハードウェアを販売している会社から購入することを考えていました。
そのため、どのような機器をどの程度の費用で調達できるのかを見積り依頼しました。

しかし、こと細かに説明をして、それに沿った見積りをしていただけるようお願いをしても100万の桁を越える見積りばかり。
こちらからの要求からは、どう考えてもそこまでの費用となるようなお願いではなかったにも関わらずです。

実は中小企業でなかなかシステムの導入に至らない多くのケースが、この初期費用にも原因があるのです。

大企業ならまだしも中小企業で数百万もの機器購入をするのは、越えるには高すぎるハードルです。

どうしてこういうことが起きてしまうのでしょうか?

ハードウェアを販売しているような会社からは、

システムのサーバーですか?
それならばこんなサーバー機器が必要になります!
1台100万です。
オプションも必要になるので150万、200万になります!

そんな見積りをいただくことになります。

「サーバー」という言葉だけでそのくらいの機器が必要という反応をされていまうのです。
そんな豪華で大げさなものは必要ないんです、とどれだけお願いしても、そのような見積りしかいただけないという。

ある意味では正しい・・・というか分からないでもないのです。

サーバー = 高い = しっかりしている・信頼性もある・安心できる

提供する側も、提供される側も、このような固定観念に囚われているのです。

提供される側はITのプロではありません。
なので、システムのサーバー機器ならば、そのくらいの機器が必要なのです!と言われたらそれを信じるしかありませんよね。

ところが、今は、個人が買うパソコンでも相当に高いパフォーマンスが発揮できるのです。
信頼性だってあります。

みなさんがお持ちのパソコンで100万もするようなものはありませんよね?
私のような専門家であっても30万もしないパソコンで十分です。

そういえば、今年の夏、プロ棋士の渡辺名人が130万円のパソコンを購入したことが話題になっていました。

渡辺明名人、1秒間に8000万手読むコンピュータを購入しディープラーニング系のソフトも導入

https://news.yahoo.co.jp/byline/matsumotohirofumi/20210816-00253492

しかし、プロ棋士がみんなこんなパソコンを使っているわけではありません。
トップ中のトップにいる方々くらいです。

いくら研究で高速な処理が可能なパソコンが必要とはいえ、せいぜい高くてもこんなもんです。

使える費用に困っていないのであれば、400万円を越えようと費用をかけても良いかもしれませんが、全くそのような高額な機器は必要ないと考えた私たちは、自分たちで調達することにしました。

先ほど書いたように、個人でも買えるようなパソコンを見つくろったのです。
サーバーに使うパソコン2台と通信機器、これで30万ちょっとの費用です。

自分たちで購入したと言っても、しっかりした大手メーカーのパソコンで、保証だって付いています。
しかも最近はパソコンと言っても、小型化が進んでいるので、スペースに困ることも少ないです。
中小企業で活用するシステムを動かして使うのには、全く問題もなく、十分な性能を発揮することができるのです。

今回のシステムでは、それらのパソコン上で、Linux(Ubuntu)というものを動かすことにしました。
多くの方はWindowsを使っているかと思います。
もしくは、Macでしょうか。

それらに代わるものとして「Linux」と呼ばれるものがあるのです。
一般の方にはなじみもなく、聞いたことがないかと思います。

ですが、古くから存在していたもので、生まれはWindowsなどよりも前で、少ないリソースでも軽々と動作するのです。
実はMacもこのLinuxというものがルーツになっています。
セキュリティ面もしっかりしており、どうしてなかなかここまでマイナーな存在なのか不思議なくらいなのです。

10年くらい前のパソコンでも軽快に動作するもので、今回調達した新しいパソコンでは軽快すぎて笑えてくるくらいでした。

しかもこのLinux、無料なのです!
誰でもインターネットから入手することができて、自由に使うことが出来るのです。

Windowsですと、サーバーライセンスというものが5万~10万円程度必要になります。
費用だけならまだしも、決して動作の軽快さもセキュリティ面での安全性にも不安があるという、何のいい点があるのか分からないという。
(批判するつもりはないのですが、どうしてもそんな言葉が並んでしまうのが残念・・・)

最近では大手IT会社の技術者でも、Linuxを使える人がずいぶんと少なくなってきました。
このため、お客さまにLinuxを使ったシステムを提案することはほとんどありません。

無料でライセンス費用もかからない、少ないリソースで軽快に動作する、そんな仕組みがあるというのに、システムを使うお客さまに提供しないなんて本当に不思議です。
(扱うスキルが無いのでは仕方ないということでもあるのですが)

多くのIT会社では、高額な費用になるような仕組みでしかシステム構築・提供ができないのです。

今回のシステム導入でも、個人でも手が出せるくらいのハードウェア費用で、安全・安心で軽快な仕組みを作り上げることができました。

正式運用に入った後も、特に問題も起きておらず、その会社様の基幹システムとしてしっかり動作しています。

高ければ安心!なんて訳がない!!
そう考えて作り上げたのですが、終えてみて、やはり良い判断が出来たと思います。

なんとか捻出できる最小限の費用で機器を購入することができて、しっかりと動作もしているのは、こういう私たちの考えが間違いではなかったのだと確信することもできました。

そういう私たちの考えに同意をしてくださり、任せていただけたお客さまには感謝もしていますし、それに報いるだけの成果を出せたと思います。

必要以上の費用をかけず、本当に必要とされる効果を得られるシステム・IT活用を提案できるよう努めていきたいものです。
このような成果を、今後も中小企業でのIT活用に役立てていきたいものです。

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