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日中VEビジネス交流会から知る中国VE事情

日本バリューエンジニアリング協会にて開催された、日中VEビジネス交流会へ参加してきました。
中国より、中国浙江省台州市政府組織部および浙江省に拠点を置く企業の関係者の方々が、日本のVE状況の視察に来日されました。

日中VEビジネス交流会の様子

現在、中国ではVEに注目しているようです。
ただし、「価値向上」というよりは「コスト削減」のための活用が目当てであると分かりました。

中国は、米中貿易戦争の影響も受け、次のような変化の過程にあります。

  • 金融・不動産から製造(モノ作り)へ
  • 物価高騰(10倍、100倍という規模での変化)
  • 大衆創業

こういう景気悪化の状況は、来年以降も続くと見られていて、「コスト削減」というのが、あらゆる企業の大きな課題になっています。

そのような環境にあるため、VEが注目され、各企業も取り組もうとしてきている訳ですが、企業側からは無茶な要求が出されたり、無理難題とも思われる対応が求められるようです。
「毎回のワークショップのプロジェクトメンバが異なる」、「短期間(2日間、4日間など)で成果を出せ」のように。
激しい景気悪化から、”短期間”に”コスト削減”を遂げたいと、非常に焦りを感じていると思われます。

VEには、「チーム・デザインの原則」という基本原則があり、各分野の専門家を招集し、メンバはプロジェクトの開始から完了まで変わることがないことが前提です。

VE活動は、10のステップから実施されます。「VE対象の情報収集」というステップに始まり、「機能分析」が行われ、最終的には改善のための”代替案”が作成されます。
ステップ毎にメンバが変わっていては、各ステップで行われた活動を共有しきれないまま進めることになってしまいます。
チームワークも高めていくことができないのです。

また、VEでは、対象とするテーマにより必要な活動時間も変わります(VEに限らずどんなコンサルティング活動でも当たり前のことですが)。
標準的には40時間(8時間 x 5日間)で活動できるテーマ選定を選定することが、最も活動効率が良いとされています。
しかし、改善の対象テーマによっては、数ヶ月に渡るプロジェクトになることもあります。

さらに、VEは、”コスト削減”のための手法ではなく”価値向上”のための手法です。
どうやら、価値を向上するという考えは頭にないようでした。
もちろん、コスト削減も価値を向上する1つの方向性ではありますが、目的をどのくらい果たせているのか、どの程度の効用を発揮できているのかが、「価値」なのです。

ところが、中国では、とにかく短期に大きな成果(大幅なコスト削減)を要求されるのが現状です。
「それができないならVEなんて要らない」と。

こういったことから、今の中国企業の人々の意識改革をすることができなければ、VEコンサルティングをしていくのは厳しい状況にあることが分かりました。
もちろん、短期間で限定的な効果で良いのであれば、VE適用も無理な話ではないのですが...

10年に1度と言われる景気の悪化が訪れている中国、まさにそういう場面でこそVEが活きてきます。
“正しい”VEの適用により、多くの企業が価値を高め、危機を乗り越えていければと考えます。

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